大判例

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札幌高等裁判所 昭和40年(ラ)21号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕本件抗告の趣旨は「原決定を取り消す。本件競落を許可する。」との裁判を求めるにあり、その理由の要旨は、原裁判所が競落不許可の理由とした「工場土地、建物および機械器具が一括して工場抵当権の客体とされた場合には、その全部を一括して売却することが法定の売却条件であるから、建物および機械器具のみを切り離して競落することは許されない」としたことが、法律の解釈を誤つたものである、というにある。

案ずるに、工場建物につき工場抵当法第三条によつて抵当権が設定された場合、その抵当権の効力は、同法第二条によつてその建物に備え付けられた機械器具におよぶのであるから、工場建物と備付けの機械器具とは、これを一括して競売に付すべきものであるけれども、前条の反面解釈として、その抵当権の効力が当然に土地(工場敷地)におよぶものではないこと明らかであるから、土地と建物とは、たとえ同一債権を担保するため同時に工場抵当法第三条による抵当権を設定され、そして、その実行として同時に競売に付せられた場合であつても、必ずしも一括して競売に付せねばならぬものではない。このことは当裁判所の判例とするところであつて、これを変更する必要が認められない(当裁判所昭和三六年三月二八日決定、高等裁判所判例集第一四巻第三号二〇五頁参照)。従つて、右の場合における一括競売を法定売却条件と解する原審の見解は法律上不当であるばかりでなく、かりに、本件の場合には土地と建物とを一括して競売するのを適当とする旨の判示として見ても、すでに、昭和四〇年四月二七日午前一〇時の競売期日において、土地を分離し、「建物と機械器具とを一括競売」する旨の特別売却条件(記録に徴し、競売法第三〇条、民事訴訟法第六六二条の二による職権の売却条件変更と認められる。)を告知し、これに応じて本件抗告人による最高価競買申出がなされたのであるから、執行裁判所としての原審は、右告知に拘束されるべきものであり、更に、本件競落についてはその許可についての異議の申立なしに、職権を以て、その許否が審査されたのであるが、その不許可の理由は法定の売却条件違反すなわち競売法第三二条、民事訴訟法第六七二条第三号にあると認められるところ、かかる不許可についての競売法第三二条、民事訴訟法第六七四条第二項但書末段の要件を満しているとは記録上認めることができない。

従つて、本件競落を許さずとした原決定は、不当として取り消すべきものであるが、物件目録の訂正等原審において施行するのを適当とする手続があると認められるので、当審において競落決定をせず、民事訴訟法第四一四条、第四〇七条に従い、本件を原裁判所に差し戻すこととし、主文のとおり決定する。(伊藤淳吉 臼居直道 倉田卓次)

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